一言に「腰痛」とはいっても、実際に原因はさまざまです。ここでは中でも多い症状についてご紹介して行きたいと思います。先に述べておきますが、当院は医師ではありませんので、診断権を持っておりません。よって、ここでご紹介する内容で、ご自身の症状を勝手に決めつけない様にして下さい。
この症状は、慢性腰痛で最も多い症状です。ちなみに、慢性腰痛の反対は急性腰痛で、いわゆるギックリ腰と呼ばれるものです。さて、何故仰向けで寝ていると腰が痛くなるのかというと、腰には自然な前弯があるのですが、仰向けの状態ではここれがブリッジ状態となるからです。慢性腰痛の場合、ただでさへ腰の筋肉が緊張している状態ですから、時間の経過と共に腰が痛くなってきます。
いずれも筋肉性の腰痛ではありますが、殆どの場合は骨盤と腰椎を繋ぐ筋肉に震源地があります。特に、こちらでもご紹介した大腰筋が悪さをしますが、これは股関節から腰椎まで長い走行を持っているため、この腰のブリッジでかなりの負担が掛かります。
【仰向けで痛い腰痛】
大きく分類して、静止時に痛みが気になるのか、動作時に痛みがあるのかに大別することができます。動作時に痛みを訴えるかたは、筋肉が固まっていることによって起こるケースが多い様です。筋肉の場合、動いていると痛みが無くなることが特徴で、動作時に常に痛いのは関節が震源地です。また、筋肉が痛みの原因の場合は、お風呂などに入浴すると痛みが楽になるケースが多く、この辺りは識別には重要徴候です。筋肉痛を思い出して頂ければ、動き始めると幾分楽にはなるが、動き始めが痛いという感覚をイメージしやすいかと思います。
【動き始めに腰が痛い】
これは盲点でもありますが、我々は医学的に「腰」と定義する部分と、一般人の方が腰と定義する部位は全く異なります。「腰が痛くて・・」と訴える方の中で、「臀部(お尻)」を抑える方が結構おります。「腰=腰部」とであって、臀部は骨盤部になります。必ず痛みの部位をご本人に触って確認をする必要があることを痛感させられますが、臀部も実は腰椎からの神経で働いていますので、無関係ではありません。この部分は、骨盤部分が痛みの原因であり、主に、大腰筋、梨状筋が悪さをしている根源です。簡単なものであれば、ストレッチでも改善しますが、筋肉の中枢は神経であって、骨盤部の歪みを整えて、神経状態を正常に回復させることが根本的な解決方法といえます。
【臀部のストレッチ】
朝にはあまり感じないが、日中から夜にかけて痛みが出るタイプの腰痛があります(痺れも同様です)。背骨は椎間板という水分を含んだ繊維組織で出来上がっています。寝ている間にはこの椎間板に重さは掛かりませんが、起き上がることで重みが掛かり、次第に椎間板内部の水分が重みの圧力で外へと逃げてゆきます。これによって、全体的に椎間板の厚みが薄くなってしまい、神経との適切なスペースが保てなくなって起こるのがこのタイプの腰痛の特徴です。また、腰痛に限らず、頚椎から腰椎まで全てに椎間板が存在しますから、昼過ぎ位から不調になる身体症状はこれを疑います。
余談ですが、子供の頃、寝起きに身長を測ると、夜に測った時よりも身長が伸びているという不思議な現象が起こります。これは、背骨ひとつひとつの間にある椎間板が、寝ている間に重みの圧力から解放され、椎間板の水分が再吸収されるからです。この状態で寝起きに身長を測ると、例えひとつの椎間板がたった0.5mm膨らんだとしても、全部でざっくりと24個の椎間板が存在しますから、1.2㎝身長が高くなる計算になります。この朝と夜で起こる身長差は、加齢と共に減少しますが、他にも可動性減少が起こっているズレがある背骨の上下の椎間板は、水分の再吸収が鈍くなる傾向にあります。